資本主義社会で資本はどうやって作られるか。そもそも資本て何?

現代社会で主流になっているのは資本主義社会です。

しかし、案外、自分の社会である資本主義の資本の意味がわかっていないことが多いです。

今回はそんな資本がどのように生まれるのか。資本の正体とは一体何かを解説します。

 

貨幣蓄積活動と資本

貨幣=商品経済で財やサービスを測る基準であり、価値を保存することができます。

そのため価値基準になる貨幣をたくさん集めたいという意識は生まれてくるものです。

これを貨幣蓄蔵といいます。貨幣を貯め込むということですね。

しかし、これだけでは、単に貨幣を使わないだけであり、交換することによって貨幣を高度に使ったりするわけではありません。

つまり貨幣は貯め込むだけでなく、まとまった量の貨幣を有効活用して増やしていこうという意識が生まれます。これを貨幣蓄積活動といいます。

その典型が、商品を大量に安く買って、高く売ることによって蓄積させようという商人の活動だったりします。

こうした自己増殖運動をするものを資本といいます。

資本は最初は貨幣の形で2つの現象があります

  • 高利資本
  • 商人資本

です。

 

高利資本とは高利貸しのことです。

高利貸しは生活のために貨幣が必要とする人々に貨幣を貸し付けることによって利子を取得します。

すなわち高利貸しは貨幣が貨幣を生む活動で、こうした価値増殖運動の形式を利子生み資本といいます。

高利貸しの悪いところを3点紹介します。

  1. 高利貸しは債務を果たさない、貨幣を返すことができない人の土地や家を没収して自らの所有物にしてしまうため、ホームレスなどが増えて社会秩序に大きなダメージを与えます。
  2. 高利貸しは、お金のない人に貨幣を貸すことで、貧乏な人は借金なしでは生きて行けない状態にしてしまいます。
  3. また高利貸しは経済を不安定にしてしまうけれども、そこから新しい経済システムができることはなく、経済システムにとっては純粋な破壊活動になります。

歴史的には、12世紀または14世紀のヴェネツィアやジョエノヴァのような商人たちの街で商業信用貨幣取扱業が生まれて高利貸しの活動の余地は狭められていきました。

つまり近代的な信用制度は、高利貸しに対抗するために生まれたものです。

銀行信用などが典型的です。

商人の貨幣蓄積活動である商人資本とはなにか

貨幣の蓄積を目的とした商品の売買活動であり、貨幣の蓄積を目的として、商品の購買と販売を行い、その売買差額から、諸々の経費を差し引いた額を利潤として取得するものが商人資本です。

商人にとって、商品がどのような流通過程や生産様式のもので生産されようが、商人にとってはどうでもいいことです。商人にとってはいかに安く買い高く売るかということです。

商人の活動は不完全な情報(知識)しか持たない人を主体にしてくりひろげられれる不完全情報ゲームであり、誰もが気づかないような情報を目ざとく探し出し商機を獲得して利潤を得るというものです。

資本と商品生産

商人の活動によって財が商品になるようになりました。生産物の大半は使用価値目的のために生産されています。経済システムをうまく動かして利潤を獲得しようとします。

こうした交換活動は経済システムに質的な変化をもたらします。

商業は自分の享楽のために、使用価値目的の生産から交換価値を志向する生産活動にシフトしていきます。より便利なものではなく、皆が使うものを作ることになります。

既存の社会秩序や文化の壁が厚ければ、社会システム内部にまで経済は拡張することはできません。しかし、そうでない場合はその社会では非商品とされているものまで、商業という活動に従属するように再組織化してしまうのです。

交換価値目的のために規則的に再生産が行われるようになると、商人の獲得した情報は、生産者と消費者に共有されるようになってしまい、商人同士の価格競争も激化してしまいます。誰も知らないことを知っているがために安く買い高く売るということができたのに、それが成り立たなくなります。

そこで使用価値を目的とした生産から、交換価値を目的とした生産にシフトする条件は次のようなものになっていくのです

  1. 生活に密着したすでにある生活必需品を商品化していくか、新たな消費財を商品化する。
  2. 産業資本を軸とした大規模な生産を行えるくらい生産者の活動が活発になること

こうした商品経済はもはや単なる媒介過程ではなく社会経済システムを組織してしまいます。

こうして生まれるのが労働力の商品化です。もはや賃労働者になる以外の道がない人を増やします。資本が労働者を囲い込むプロセスは、資本ー賃労働関係の形成をしていくことになります。